ギターを学ぶ上で、よく「コード進行」という言葉を耳にされることがあるかと思います。「コード進行」とは、文字通りコードの流れを指す言葉ですが、その中でも「定番」と呼ばれるコード進行がいくつか存在します。今回は「超定番」とも言われている「カノン進行」について説明します。
この記事を読むと
- 「カノン進行」の概要が理解でき、定番の曲の流れが理解できます。
- 限定されたいくつかのコードでカノン進行の曲が複数弾けるようになります。
カノン進行そのまま、という曲は実は少ないのですが、カノン進行の一部を使用した曲は非常に多いですので、流れを理解しておくと、色々応用が利くのでおすすめです。
カノン進行とは?
カノン進行とは、パッヘルベルの「カノン」という楽曲に使用されたコード進行です。結婚式などで流れる事もあり、荘厳で美しいメロディが特徴です。
カノン進行のコードの流れ
コード進行としては、下記がカノン進行の流れとなります。
C ⇒ G ⇒ Am ⇒ Em ⇒ F ⇒ C ⇒ F ⇒ G
但し、上記は曲のキー(起点となる音)がCからになっています。
どの音を起点にするかによって、複数種類があります。
上記でもお分かりの通り、バレーコードが少なく、比較的押さえやすいのは下記2種類になります。
Cで始まるカノン進行
C ⇒ G ⇒ Am ⇒ Em ⇒ F ⇒ C ⇒ F ⇒ G
Gで始まるカノン進行
G ⇒ D ⇒ Em ⇒ Bm ⇒ C ⇒ G ⇒ C ⇒ D
ですので、C・G以外で始まる曲は、カポタストを使用して、Cで始まる進行またはGで始まる進行に変えてしまう事でパターン化して弾くことができます。
たとえば
- D起点の曲 ⇒ カポタスト2でC起点に変更
- A起点の曲 ⇒ カポタスト2でG起点に変更
などの対応をすることで、極力バレーコードを回避しつつ、同じコードの流れで色々な曲が弾けるようになります。
カポタストは是非準備しておきましょう
カノン進行の曲を複数弾くにあたり、カポタストが必須となります。
上級者向けのアイテムと思われる事もありますが、ギター初心者こそカポタストの活用が重要となります。
また、ネットでも「カポなしの曲」といったキーワードで曲を検索している方が非常に多いのですが、カポなしの曲を一生懸命探す労力を考えたら、カポを購入してしまった方が絶対早いです!
価格も1000円~2000円程度で購入できますので、是非揃えておきましょう。
カノン進行の曲について(Cから始まる曲)
ここからはJ-POP、洋楽の有名曲を中心にカノン進行の曲を紹介します。
が、ここで一点注意ですが、純粋なカノン進行の曲はほとんどありません。
(スピッツの「チェリー」くらいでしょうか)
ネットで「カノン進行の曲〇選」という記事が良くありますが、9割以上がカノン進行を一部使用した応用曲になっています。中にはほとんどカノン進行の原型をとどめていない曲も含まれています。
但し、ここでもあまり固く考えずに
C ⇒ G ⇒ Am ⇒ Em あたりの流れが使われていれば「カノン進行」として整理しています。
チェリー:スピッツ(カポなし)
こちらカノン進行の王道の曲です。冒頭のAメロがカノン進行そのままになっている貴重な曲です。
チェリー/スピッツ (YouTube)
コード譜(U-Fret)
カポタスト なし
カノン進行の箇所は冒頭です。
C ⇒ G ⇒ Am ⇒ Em ⇒ F ⇒ C ⇒ F(FM7) ⇒ G
とそのままの流れですので、大変分かりやすいです。
※FはFM7で代替可能です
Don’t look back in anger:OASIS(カポなし)
こちらカノン進行をやや崩した形になりますが、C⇒G⇒Am、の流れはサビの箇所に生かされています。初心者の方はFが出てきますが、FM7で代替えして、まずサビだけでも弾いてみると楽しいのでおすすめです。
カポタスト なし
カノン進行の箇所はサビです。
C ⇒ G ⇒ Am ⇒ E ⇒ F(FM7) ⇒ G ⇒ C
若干進行にアレンジが加わっていますが、カノン進行っぽくなっています。
※FはFM7で代替可能です
Don’t look back in anger/OASIS (YouTube)
コード譜(U-Fret)
真夏の果実:サザンオールスターズ(カポ2)
こちらAメロがカノン進行になっていますが、一か所FがDmになっているのみで、その他はほぼそのままカノン進行になっています。FはFM7で代替して全く問題ありませんので、スピッツのチェリーが弾ければこの曲もほぼ弾けるはずです。
真夏の果実(稲村ジェーン)/サザンオールスターズ (YouTube)
コード譜(U-Fret)
こちら桑田佳祐監督作品「稲村ジェーン」の主題歌として話題になった曲です。お分かりの世代は限定されますが、21年6月にDVDが発売されたそうです。非常に懐かしいですね。
マリーゴールド:あいみょん(カポ2)
こちらはCではなく、原曲はDから始まるカノン進行の曲になります。カポタストを2フレットに付ける事で、Cで始まる押さえ方(C⇒G⇒Am・・・)で弾くことができます。
イントロの部分はカノン進行そのまま、Aメロ・サビの部分は少し変形型ですが、出てくるコードは同じです。カポタストを使えばスピッツのチェリーと同じ押さえ方で弾くことができます。
マリーゴールド / あいみょん (YouTube)
コード譜(U-Fret)
カポタスト 2
カノン進行の箇所は・イントロ・Aメロ・サビです
イントロ: C ⇒ G ⇒ Am ⇒ Em ⇒ F ⇒ C ⇒ F ⇒ G
Aメロ : C ⇒ G ⇒ Am ⇒ G ⇒ F ⇒ C ⇒ F ⇒G
サビ : C ⇒ G ⇒ Am ⇒ G ⇒ F ⇒ C ⇒ Am ⇒ F ⇒ G
イントロはカノン進行そのまま
それ以外は若干進行にアレンジが加わっていますが、全般的にカノン進行っぽくなっています。 ※FはFM7で代替可能です
優しいあの子:スピッツ(カポ2)
こちらもマリーゴールドと同じく、原曲はDから始まるカノン進行ですが、カポタストを2フレットに付けることで、同様にCから弾くことができます。
優しいあの子 / スピッツ (YouTube)
コード譜(U-Fret)
カポタスト 2
カノン進行の箇所はAメロ・サビです
Aメロ : C ⇒ G ⇒ Am ⇒ Em ⇒ F ⇒ C ⇒ G
サビ : C ⇒ G ⇒ Am ⇒ Em ⇒ F ⇒ G ⇒ C
若干進行にアレンジが加わっていますが、曲を通して全般的にカノン進行っぽくなっています。※FはFM7で代替可能です
にじいろ:絢香(カポ2)
こちらは少々カノン進行の原型から外れているのですが、近い形として紹介します。原曲キー通りDから始まるカポなしで弾いても全然大丈夫ですが、カポ2を付ける事で、おなじみのCから始まる進行に変更することができます。
にじいろ / 絢香 (YouTube)
コード譜(U-Fret)
カポタスト 2
カノン進行の箇所はサビです
サビ : C ⇒ G ⇒ Am ⇒ C ⇒ F ⇒ C ⇒ Dm ⇒ G
若干進行にアレンジが加わっていますが、FではなくDmを加えている点がポイントになります。※FはFM7で代替可能です
Basket case:Green Day(カポ3)
20年以上前の曲になりますが、GreenDayの名曲です。
こちらは激しいエレキの曲調なので、カポタストを使用せずパワーコードを活用した演奏法の方が良いかもしれませんが、実はカノン進行の曲ですので、ここでご紹介いたします。こちらはカポタストを3フレットにつければCから始まる進行に調整できます。
Basket Case / Green Day (YouTube)
コード譜(U-Fret)
カポタスト 3
※U-Fretでは、簡単引き:カポ2となっていますが、カポ3を選択
カノン進行の箇所は冒頭(サビ)です
サビ : C ⇒ G ⇒ Am ⇒ Em ⇒ F ⇒ C ⇒ G
若干進行にアレンジが加わっていますが、FではなくDmを加えている点がポイントになります。※FはFM7で代替可能です
カノン進行の曲について(Gから始まる曲)
こちらもう一つの頻出パターンとして、Gから始まるカノン進行の曲を紹介します。
G ⇒ D ⇒ Em ⇒ Bm ⇒ C ⇒ G ⇒ C ⇒ D
となり、初心者にとってはBmが入るのが厄介です・・・。曲によりますが、Dで代替えすることが出来る場合もありますので、試してみることをおすすめします。
ちなみにカポタストを7フレットに付ければ前述の通りCから始まる進行に変える事もできますが、カポ7までいくと、少々窮屈なので、現実的ではありません。
さくらんぼ:大塚愛(カポなし)
さくらんぼ / 大塚愛 (YouTube)
コード譜(U-Fret)
カポタスト 0
カノン進行の箇所はサビです
サビ : G ⇒ D ⇒ Em ⇒ Bm ⇒ C ⇒ D ⇒ Bm ⇒ Am ⇒ D ⇒ G
Bmが頻出するので、少し難易度は高いです。
さくら:森山直太朗(カポ1)
こちらもカノン進行の曲として紹介される事が多い曲です。やや変形していますが、カノン進行の美しい響きを活かした曲になっています。
さくら / 森山直太朗 (YouTube)
コード譜(U-Fret)
カポタスト 1
カノン進行の箇所はサビです
サビ : G ⇒ D ⇒ Em ⇒ D ⇒ C ⇒ G ⇒ Am7 ⇒ D
BmやFなしで弾けますので、非常に弾きやすい曲です。
クリスマスイブ:山下達郎(カポ2)
こちら原曲コードは非常に難しい押さえ方になっていますが、カポ2でかなり簡単な進行に変更することができます。
クリスマスイブ / 山下達郎 (YouTube)
コード譜(U-Fret)
カポタスト 2
カノン進行の箇所は冒頭(サビ)です
冒頭 : G ⇒ D ⇒ Em ⇒ Bm ⇒ C ⇒ Bm ⇒ Am ⇒ D
やや変形型ですが、カノン進行の美しい音色を活かした曲になっています。
カノン進行の派生形? LET IT BE進行とは?
正式な理論でも何でもないのですが、カノン進行の派生形として「LET IT BE」進行、というものがあるそうです。こちらカノン進行をベースにしつつ、若干変形して
C ⇒ G ⇒ Am ⇒F
の流れを指すそうです。
他のサイトではLET IT BE も「カノン進行」として整理されていることが多いのですが、やや変形しているので、別で分類されるケースもあるそうです。サザンやユーミンの曲などでも活用されており、カノン進行と同様に非常に聞きやすいメロディラインです。
LET IT BE : The Beatles
LET IT BE / The Beatles(YouTube)
コード譜(U-Fret)
U-Fretのコード表記は、冒頭C⇒G⇒Am⇒G⇒F とGが入っていますが、C⇒G⇒Am⇒F の流れが一応「LTE IT BE進行」とされているようです。
いかがでしたでしょうか。他にも色々曲はありますが、2種類の弾き方のパターンを体感して頂き、効率的な練習にお役立てください。
あと、しつこいようですが、効率的な練習のためにカポタストは是非揃えておきましょう!